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退職金・役員退職金の平均相場、退職金控除計算・退職金の所得税・住民税の計算方法に関する情報を初心者向きにわかりやすく解説。

◆退職金平均相場・税金の解説

◆役員退職金の計算では功績倍率を指標とする

 ここからは退職金の一般的な平均相場について確認していくとしよう。

 退職金金額の計算は、代表取締役社長や専務などの役員の場合と一般社員の場合では、基本的に計算方法が異なる場合が多くなっておる。

 これは一般的な見解として社長や専務などの取締役役員は会社の経営に対する責任が大きく働き、会社への貢献度も大きいと考えられる為じゃ。

 その為、役員の退職金の計算では、会社への貢献度を示す「功績倍率」と呼ばれる指標を基に退職金の計算がなされるケースが大半となっておる。

 尚、大企業の場合は株主総会などで独自の退職金計算規定を設ける場合もあるのじゃが、中小企業などでは功績倍率を基に退職金計算が行われるケースが圧倒的に多くなっておるのが現状じゃ。

 まず本項では役員退職金の計算方法と平均相場について確認しておこう。

◆役員の功績倍率の平均相場(参考)

 まずは功績倍率を用いて役員退職金の計算を行う場合の一般的な相場について確認じゃ。

 功績倍率の設定に関する具体的な決まりは一切決められておらん。

 その為、ここで紹介する功績倍率は過去の役員退職金として損金計上が認められた退職金判例基準などを基にした統計的な功績倍率の相場である点を把握した上で、功績倍率の平均的な目安として確認しておくことが重要じゃ。

 尚、役員の功績倍率の平均相場は概ね以下のようになっておる。

【役員の功績倍率の平均相場】
◆代表取締役(創業者)⇒3.0倍〜3.4倍
◆代表取締役⇒2.4倍〜3.2倍
◆専務取締役⇒2.2倍〜2.7倍
◆常務取締役⇒2.0倍〜2.6倍
◆取締役⇒1.2倍〜2.0倍
◆取締役(監査役)⇒1.0倍〜1.6倍

 上記の役員の功績倍率の平均相場を見ても解る通り役員の功績倍率については、社長、専務、常務、平取締役の順で功績倍率が徐々に低くなっておるのが一般的じゃ。

 尚、代表取締役の中でも創業者の場合は、会社を設立した最大の功労者という見解からも会社への貢献度が最も高いとされる事が一般的であり最も高い功績倍率となるケースが大半じゃ。

◆功績倍率を用いた役員退職金の計算式

 役員の功績倍率の平均相場の目安を確認したところで、実際に役員の退職金金額の計算方法についても確認しておく。

 功績倍率を基に役員退職金の計算を行う際の計算式は、役員の最終報酬月額をベースとし、役職の在職年数を乗じて退職金の金額を計算する事になっておる。

 以下に功績倍率を用いた役員退職金の計算式を記載しておくので確認しておく事じゃ。

【功績倍率を用いた役員退職金の計算式】
最終報酬月額×役員勤続年数×功績倍率

 最終報酬月額は退職金の支給を実際に行う年度の最終月額報酬で仮に在任期間が一年に満たないような場合は、報酬額を月割りで計算するのが一般的じゃ。

 尚、役員勤続年数とはその名の通り、役員として勤続している年数の事であり会社の通算勤続年数とは異なっておる点がポイントじゃ。

◆代表取締役の退職金の計算事例

 最後に役員退職金の計算を具体的な事例を基に算出してみるとしよう。

 この事例では中小企業の代表取締役(創業者)の退職金金額を算出する事とする。

【計算事例の条件】
役職⇒代表取締役(創業者)
最終報酬月額⇒240万円
役員勤続年数⇒20年
功績倍率⇒3.0倍

 中小企業の場合は創業者が代表取締役社長として長年在位するケースは珍しい事ではない。

 最終月額報酬240万円、役員勤続年数20年というのも実際に存在しそうな範囲と言えるじゃろう。

 尚、この事例における退職金の計算式は以下の通りじゃ。

※240×20×3=14400

 功績倍率を用いた計算式で退職金を算出した場合、今回の事例における代表取締役社長の退職金は1億4400万円となる。

 法人名義で○十万円という高額の保険料を支払っているケースが見られるのは、このように高額の退職金の支払いを行う際の退職金原資の積立を保険商品で行っておる為なのじゃな。

 尚、パナソニックの創業者松下幸之助氏の娘婿である松下正治氏は取締役勤続年数が65年と一般的には考えられない期間に渡り経営に貢献し、パナソニックの成長に大きな影響を与えた。

 尚、2012年7月に亡くなった松下正治氏の退職慰労金は約15億円であったと言われておるのじゃよ。