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退職金・役員退職金の平均相場、退職金控除計算・退職金の所得税・住民税の計算方法に関する情報を初心者向きにわかりやすく解説。

◆退職金平均相場・税金の解説

◆退職金規定があるかどうか?

 退職金は日本独自の制度であり、日本国内においても特に法律によって義務化されている制度でもない。

 この事実を把握すると、勤め人の方としてはやはり、自分の会社の退職金制度が存在するかどうかについて不安になるものじゃ。

 尚、退職金の有無を確認する手段は、会社が就業規則内に設けている「退職金規定」の項が存在するかどうかにかかっておると言ってよいじゃろう。

 もし、現在勤めておる会社の就業規則に退職金規定が設けられておる場合は、退職金制度自体は存在しておる為、退職金規程に記載されている支給内容や支給条件を確認すると良いじゃろう。

 また、会社で退職金規定が設定されていない場合は、残念ながら退職金制度そのものが存在していないと考えられる。

 その為、仮に何年勤めたとしても退職時に退職金が支給されない可能性があるという事になる訳じゃ。

退職金が支払われるか不安な場合【画像】

 また、退職金規定どころか就業規則も存在しないような場合は、その会社が生涯を通じて働いていく価値があるかどうかについて早い段階で確認しておくべきじゃろう。

 尚、退職金規定に関する規則を確認する際は各会社の状況によっても異なるが、一般的には社内の総務課に確認するのが通常じゃ。

 もし、就職して間もない場合は、自分の面接を担当した人事課の担当者に確認してみても良いじゃろう。

◆生涯賃金も含めて退職金規定を考える

 退職金と呼ばれる退職者に支払われる金銭は、本質的に考慮すると「賃金の後払い」という性質を持っておる。

 その為、退職金規定の有無は本来、会社に勤める前に確認しておくべき重要な項目であると認識しておく必要があるのじゃ。

 退職金規定が設けられておる企業に勤める場合は、後払いとしての性質をもつ退職金額も含めて生涯賃金を考慮すると、月給が多少低い場合でも生涯賃金では大きくプラスとなる可能性も考えられる。

 また、逆に退職金規定がない場合、その企業に勤める際は、退職時の手当がない分、給与や賞与、そして昇給制度などを考慮し、生涯賃金が妥当であるかどうかを検討すべきと言えるじゃろう。

 就職難と呼ばれる現在では、このような退職金規定まで考慮するゆとりがないというのが実情なのかもしれん。

 しかし、勤め先の選択は一生に関わる重要な選択に関わるケースも多いため、退職金規定の有無を含めて検討する知識を持っておく事も大切なのじゃよ。

◆退職金制度は産業時代の産物

 退職金制度は就業規則内で企業が退職金規定を作成しておるかどうかがポイントとなっておる点はここまでに解説してきたとおりじゃ。

 但し、退職金の有無を考慮する際に事前に把握しておきたいポイントをもうひとつ確認しておくとしよう。

 このもう一つのポイントとは、現在退職金制度の導入を見送る企業や今まで退職金制度を設けていた企業の中で制度を廃止する企業も多く出てきておるという現状についてじゃ。

 元々、法定で定められた制度でもなく、日本国以外ではほとんど導入されていない退職金制度はバブル期の終身雇用制、いわゆる会社が社員の一生を支える概念(退社後も含む)という産業時代の概念が基調となっておる。

 しかし、世界的にグローバル化の波が進む情報時代の現在では、退職金制度は産業時代の産物でしかなく、企業の重荷となってしまう可能性も懸念されておるのじゃ。

◆退職金制度の廃止と選択制の導入

 退職金制度を廃止する流れは特に中小企業で加速的に進んでおるのが実情じゃ。

 企業にとって退職金制度を導入する事は、会社の経営にとって大きなリスクともなり得る。

 その為、大企業と比較すると資本的にも体力の小さな中小企業は制度の充実を図るよりも、リスクを抑え継続的な雇用を維持する事を優先するケースが増えてきていると言っても良いじゃろう。

 尚、東証一部上場企業であっても退職金規定の見直しや「退職金選択制」を導入する企業も少しずつ増加しておる。

 尚、選択制を選んだ場合は給与の後払いの性質を持つ退職金を毎月の給与に上乗せして現役中に退職金相当額を受給できるような仕組みになっておるのじゃ。

 このように現在では大企業であっても退職金の支給について個々に選択権を与える方向に移行する企業が増加しておる。

 その為、現在は退職金規定が定められておったとしても将来的に退職金の支給が約束されている訳ではないという点に関しても、念のため覚えておいて損はないじゃろう。